諺のはなし

（えんはいなもの）

　人と人との結びつきは不思議である。偶然の出会いがあって、それが続いていく。学校や仕事の関係であったり、趣味の会であったり、地域のつながりであったり。気が合えば長く続き、生活の場が変われば、また変わっていく。
　夫婦もその一つである。出会いの場は色々であるが、気が合えば長く続き、生活の場が変われば変わっていく。と言っても、この場合は嫌になったからとすぐに別れることはできないから、その点は少し複雑である。
　我慢の限界を越えて決裂ということもあれば、仕方ないと諦めているうちにこんなものかと観念し、いつの間にか相手が自分の半身のようになることもある。それがまた不思議なところでもある。
　出会いは偶然でも、それがあたかも必然であったかのように感じられる。親兄弟以上に近くなり、何でも言えるようになる。別人格だったものが長い年月を経て同化している。そういうこともある。
　縁は異なもの、と言う。なぜこの人と、と改めて感じることがある。しかしあまり深くは考えない方がいいだろう。疑問が膨らんで、脱出を試みたくなったりする。それもまた人生ではあるが。