目次
恋は思案の外
光陰矢の如し
行雲流水
後悔先に立たず
巧言令色鮮し仁
後塵を拝す
心ここに在らざれば視れども見えず
歳月人を待たず
五月の鯉の吹き流し
去る者は日々に疎し
事実は小説より奇なり
沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり
自慢は知恵の行き止まり
朱に交われば赤くなる
正直の頭に神宿る
人事を尽くして天命を待つ
心頭を滅却すれば火もまた涼し
過ぎたるは猶お及ばざるがごとし
捨てる神あれば拾う神あり
晴天の霹靂
節制は最良の薬なり
棚から牡丹餅
亭主の好きな赤烏帽子
虎の尾を踏む
ならぬ堪忍するが堪忍
年年歳歳人同じからず
貧にして楽しむ
文は人なり
待てば海路の日和あり
やはり野に置け蓮華草
雄弁は銀、沈黙は金
笑う門には福来る
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文は人なり
（ぶんはひとなり）
手紙が届いた。差出人は私より十歳年長の方で、丁寧な文面でお礼の言葉が書いてあった。達筆とはいえないが（失礼）、それ故のほのぼのとした温かさがそこから伝わってくる。
電話より手紙を好み、それは私たち夫婦も同じなので、手紙や葉書でのやりとりが多い。と言っても、長い文章が苦手な私たちはもっぱら葉書で、それも二人で半分ずつを書く。妻が上半分で、その下に私が一言添える。その書き方は他の友人に出す場合にも共通である。
体言止めが好きな彼女は疑問符や感嘆符を多用し、文に躍動感があり、字も元気である。その下に私の字が並ぶ。彼女の字に比べると弱々しく、文章もぼよんとしていて大人しい。二人の関係そのままである。
文は人なり、という。その通りのようだ。
「達筆でないのがいいね」
届いた手紙を見ながら、いつものように妻が言った。手紙が好きで、しかしうまくないところがいい、と勝手なことを言っている。
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文は人なり 文は、その人の思想を表現したものであるから、筆者の全人格がそこに現れている。
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